研究紹介

所属

奈良女子大学生活環境学部 生活文化学科
人間関係文化論・ 人間関係論担当。専門は社会心理学。

専門分野

社会心理学、文化心理学、環境社会心理学

履歴

大学:名古屋大学文学部心理学研究室
修士:University of Kent, Social & Applied Psychology
博士:名古屋大学文学研究科心理学研究室
2000年4月より、奈良女子大学生活環境学部に赴任

研究内容

1.文化による人間関係の違い

 日本を含む東洋の文化圏と、西洋の文化圏ではどのような点が異なるのでしょうか。例えば、「日本人は集団主義だ」「日本人は群れたがる」ということが言われます。それは本当のことなのでしょうか。また、集団主義とはどのようなことを指すのでしょうか。

 「日本人は会社に対する帰属意識が強い」ということも言われます。実際に、過労死などはヨーロッパでは考えられません。でも、これまでの調査結果では、日本人の会社に対する帰属意識はそれほど高くない、ということが示されています。では何が日本人を会社人間にしているのでしょうか。一つ考えられるのは、「周りからの期待」ということです。日本人は、周りからの期待に応えようと一生懸命になってしまうのです。規範に対して敏感だということが考えられます。

 日本とイギリスで会社を辞めることにどのような要因が影響を及ぼしているのかを調べる調査を行いました。その結果、「会社に所属している」「自分は会社の一員だ」という帰属意識が、まず日本とイギリスの両方で大きな影響を及ぼしていました。それ以外に、日本では「家族など重要な人が会社を辞めることをどう思っているか」というのが大きな影響を及ぼしていたのです。その詳細はAndo, Abrams & Hinkle (1998)で報告しています。

2.環境配慮行動の規定因を探る

 「環境配慮行動」とは、ごみを分別する、電気をこまめに消す、公共交通機関を使うなど、環境に配慮した行動のことを指します。これまで、様々な調査により環境配慮行動の規定因を調べています。

 現代では、「環境にやさしい生活をしたい」と思う人は多いのですが、それがなかなか実行に移されていないということが指摘されています。では、どのようにすれば環境配慮行動を取る人が増えるのでしょうか。一つのキーワードは「規範」ということです。私たちは、周りの人からの影響を常に受けています。また、周りの人に対して情報発信もしています。上述の文化による人間関係の違いとも関連しますが、私たちは家族や親友など重要な他者からの影響を受けやすいことが明らかになっています。

 最近行った調査は、親から子へ、どのように環境配慮行動が受け継がれるのかということです。小学生とその親を対象にアンケート調査を行いました。その結果、親自身の行動が持つ影響力が一番大きいということが示されました。子どもは親の行動の観察学習により学ぶことが多いことが示されました。 また、1の文化比較のテーマともからんで、日本とヨーロッパではどのように環境配慮行動の規定因を異なるのか、ドイツのボホム大学の研究グループと協力して、日独での違いを調べています。

 最近では、環境コミュニケーションに関しては「コミュニケーションにより環境行動を広める」という章を広瀬幸雄先生編集の「環境行動の社会心理学」(北大路書房 2008年3月出版)に書かせてもらいました。

○環境に関するアンケート調査(小学生・保護者対象)
 自由記述抜粋(2007年2008年2009年
○グリーンコンシューマーのアイディア(2008年・2012年)

3.子育て支援

 自分自身で体験して気づいたことですが、やはり現在の日本はとても子育てのしにくい環境だと思います。自分の体験と、全国のワーキングマザーを対象にした調査結果をもとに「ワーキングママの本音」(安藤・伊藤・鳥山,2006)という本を出版しました。また小さい子どものいるお母さんを対象とした聞き取り調査なども行っています。今後、海外との比較などもできたらと思っています。

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